コラム P.3 白玉


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製作のノウハウがある程度蓄積出来たため、
今後製作するキャラの雛形として、
様々な試作要素の実証を目的にしたキャラの製作に着手しました。

・グラフィックのD4化
・汎用化のために3Dモデルの見直し(薄着なのは素体の挙動を確認するため)
・厳密なパレット管理によるコスチュームチェンジ
・至近距離における攻防の細分化
・様々な状況におけるアクションの実装
・投げ技の多様化
・学習型AI

このため、公開後も頻繁な仕様の変更や大幅な調整が考えられ、
その素性から対戦格闘キャラと呼ぶには異質な物になる事が予想されました。

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1Pカラーと 8Pカラー
3Dソフトのライティング作業は至福のひととき


問題はキャラのベースを誰にするか?
版権物からキャラを持ってきた場合に考えられることは?
まず、上記のような仕様のため、
キャラを導入した方に頻繁なアップデートを強いることになるでしょう。
版権キャラというある程度イメージが固まっているものを、
頻繁に改変するのは避けたいところです。

また、一般的な格闘キャラとは上手く噛み合わず、使用者・対戦者に良くない印象を与え、
結果としてキャラ自身、
場合によっては原作自体に非難の矛先が向く事もあるかも知れません。
それは私にとっても悲しいことであり、原作ファンの方にも申し訳なく、
これも出来れば避けたい事態です。

こうなると、たとえ非難に晒されてもそれがそのキャラのみで留まり、
かつ頻繁な仕様変更が許容されるもの、つまりはオリジナルのキャラが適任となります。


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デフォルトヘアカラーはピンクゴールド
ゲーム上では高解像画像が不要、かつ可動優先のためディテールは甘い


かくして「白玉」は生まれる前から非難を請け負う実験体であることが決定し、
キャラの個性や人格は必要とされず、
名前はたまたま食べる機会が多かった食べ物から適当に当てられるという、
恵まれない生い立ちのもと製作されました。

ただ、バックボーンが無いと演出に説得力を持たせられないため、
印象に残った作品である、たかしげ宙氏・皆川亮二氏共著「SPRIGGAN」の世界観を、
それとなく背景にさせて頂きました。


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小物も再利用を考慮し適度に作りこむ
ナイフは、私の趣味である山遊び用に自作した物のデジタル設計データを流用した


製作開始から3ヶ月程経った秋の日、指定要綱を全て盛り込み「白玉」は完成しました。

オリジナルキャラであるのには訳がある。

不幸な出自をもった彼女は天命を全うし、誇るべき礎となりました。
多くの技術が後続のキャラに引き継がれ、あるいは過去の製作物にフィードバックされ、
完成度の向上に大きく貢献したのでした。



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